村上 孝一/アナリストの目

東京金、上場来高値に面合わせ
2019/09/04 15:35:58

 トランプ米政権は日本時間9月1日午後1時1分、中国からの輸入品約3200品目、1120億ドル分に追加関税15%を課した。制裁措置「第4弾」の一部で、残りは12月15日に発動する。一方、中国は米国からの輸入品約750億ドル分に最大10%の追加関税を課す報復措置の一部を実施。さらに、中国商務省が2日、トランプ米政権が対中制裁関税「第4弾」を発動したことを巡り、世界貿易機関(WTO)への提訴を決定したと発表、市場では貿易戦争激化への警戒感が広がっている。
 トランプ米大統領は3日、中国との通商協議は良好に進展しているが、交渉が自身の2期目まで持ち越しとなれば、交渉は一層困難になると強調し、中国に早期妥結を迫った。また、米ブルームバーグ通信によると、9月に予定された貿易協議の日程調整は2日時点で難航している。

 米サプライ管理協会(ISM)が3日発表した8月の米製造業景況指数は49.1と、7月の51.2から低下し、2016年1月以来、3年7カ月ぶりの低水準。また、2016年8月以来初めて景気の拡大・縮小の節目とされる50を割り込んだ。米中貿易摩擦が企業業況感の重しとなる中、内訳の新規受注や雇用が悪化し、全体を圧迫した。
 米中貿易摩擦による世界的な景気減速懸念が広がる中、低調な製造業統計が発表されたことは、米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利下げに動くとの見方を後押しする材料になるだろう。また、米セントルイス連邦準備銀行のブラード総裁は3日、市場での期待や米中貿易摩擦のリスクなどを踏まえ「積極的な」金融政策が必要だと強調、9月17〜18日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の大幅利下げが妥当だと主張した。ブラード総裁は今年のFOMC投票メンバー。

 英下院は3日、欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」阻止に向けた緊急動議を賛成多数で可決。動議の可決により、10月19日までに離脱合意案が議会を通過しなければ、来年1月末まで3カ月間の離脱延期をEUに要請するよう首相に強制する法案の審議・採決が4日に行われる。一方、ジョンソン英首相は対抗措置として前倒し総選挙を提案。英首相に議会解散権はなく、選挙の前倒しには下院の3分の2以上の賛成が必要だが、与党・保守党は3日の与党議員の離党で下院での過半数を失い、選挙実現には野党の協力を仰がざるを得ない。ただ、野党は選挙より「合意なし」回避を優先させる方針で、提案は空振りに終わる可能性もある。
 4日の採決で「英国の合意なきEU離脱」阻止に向けた法案が可決された場合、投資家のリスク選好意欲が改善する一方、安全資産とされる金にとっては圧迫材料になる可能性がある。ただ、外国為替市場では「英国の合意なきEU離脱」によりドルが対英ポンド、対ユーロで上昇。主要6通貨で構成されるドル指数が8月1日に付けた年初来高値を更新し、3日には一時、99.370と、2017年5月12日(99.696)以来約2年4カ月ぶりの高値を付けた。「英国の合意なきEU離脱」への懸念が弱まれば、ドルが対英ポンド、対ユーロで下落し、ドル建てで取引される金は割安感から買われる可能性もある。

 東京商品取引所の金先限は8月30日に5260円の上場来高値を付けた後、利益確定の売りなどで5200円の節目を割り込んだが、10日移動平均線で支えられる格好で下げ渋り、9月4日にはNY金相場高で買われたことから、一時は30日に付けた上場来高値に面合わせした。米中貿易摩擦による世界的な景気減速懸念や、米FRBによる追加利下げ観測が根強く、今後発表される経済指標などでこうした懸念や観測が強まれば、先限は上場来高値を更新し、5300円の節目を試しに行く展開になることが予想される。一方、10日移動平均線(9月4日現在:5194円付近)が引き続き、下値支持線になるだろう。また、同平均線を割り込んだ場合、次は20日移動平均線(同:5160円付近)が下値支持線になるとみているが、米中貿易摩擦による世界的な景気減速懸念や、米FRBによる追加利下げ観測が根強い状況では、同水準を割り込む可能性は低いだろう。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。

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