村上 孝一/アナリストの目

金相場、投資家のリスクオンで下落
2019/09/10 15:39:16

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、投資家のリスク選好意欲の回復を受けた利益確定の売りに下落。9月10日のアジア時間帯での取引では、中心限月期近12月限が1500ドルの節目を割り込み、一時は1494.30ドル(日本時間10日15時15分現在)と、8月13日(1488.90ドル)以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
 中国人民銀行(中央銀行)が6日、預金準備率引き下げを通じて新たな景気下支え策を発表したほか、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がスイスで行われた討論会で「景気拡大の持続に向け、適切に行動する」と発言したことなどを受け、米中貿易摩擦の激化に伴う世界経済の減速懸念が和らいだ。こうした要因を背景に投資家のリスク選好意欲が回復する一方、安全資産とされる金は4日に年初来高値を更新したとあって利益確定の売りが出やすかった。また、ニューヨーク金融・債券市場では投資家のリスク選好回復で、安全資産とされる債券は売られ、長期金利の指標となる10年物米国債利回りが上昇したことが、金利の付かない資産である金には売り材料となった。

 また、市場で注目されていた8月の米雇用統計が9月6日に発表された。景気動向を反映する非農業部門就業者は前月比13万人増加と市場予想の15万8000人増加を下回った。伸び鈍化は2カ月連続で、雇用拡大ペースの減速基調を改めて示した。米中貿易摩擦、世界経済の減速を背景に製造業を中心に雇用の伸び悩みが目立ち、6月と7月の非農業部門就業者はいずれも増加幅が当初発表から下方修正された。  米連邦準備制度理事会(FRB)は9月17〜18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。市場では8月の米雇用統計の結果と、6日の討論会でパウエル米FRB議長が9月FOMCで利下げに踏み切る可能性を示唆したことを受け、追加利下げが決定されるとの見方が大勢。

 9月10日の東京商品取引所の金相場は、NY金相場安を嫌気した売りが優勢となり3営業日続落。先限は一時、5122円と、8月26日(5111円)以来2週間ぶりの安値を付けた。チャート上でも6日に10日移動平均線(6日:5219円)、10日に20日移動平均線(10日:5178円付近)を割り込んだことから、5100円の節目を試しに行く展開が予想される。 ただ、来週の米FOMCで追加利下げが予想されているうえ、米中貿易摩擦による世界経済の減速懸念も根強いことから、ニューヨーク市場でファンド筋が買い玉の手じまいを積極的に進めることは考えにくく、東京金の先限が目先8月14日の安値5053円を割り込む可能性は低いとみている。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。

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