村上 孝一/アナリストの目

世界的な金融緩和競争は激化するか
2019/09/13 16:44:09

 中国財政省が11日、米国の制裁関税に対する報復の一環である追加関税について、潤滑油など一部品目を対象から除くと発表。トランプ大統領はこれに応じ、「2500億ドル相当の品目に対する関税率の引き上げ(25%を30%へ)を、10月1日から10月15日に延期することで合意した」とツイッターで発表。また、中国国営新華社通信によると、劉鶴副首相は12日、米経済団体の代表と会談し、10月上旬に開催する米中の閣僚級貿易協議に向け、事務レベルの会合を来週行うことを明らかにした。
 トランプ米大統領は12日、中国との貿易協議を巡り、協議事項を盛り込む「暫定な合意」を検討する可能性があると述べた。ただ、知的財産権保護や産業補助金の削減など、中国の構造問題全てを網羅した合意を目指す従来方針は維持した。
 米中貿易協議の進展期待から、投資家のリスク選好意欲が回復し、リスク資産である株式が買われる一方、安全資産とされる債券や金は売られた。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、投資家のリスクオンで利益確定の売りが優勢となり下落。中心限月の期近12月限は9月10日に1500ドルの節目を割り込み、一時は1492.10ドルと、8月13日(1488.90ドル)以来1カ月ぶりの安値を付けた。ただ、主要中央銀行が景気下支えのため一段の金融緩和に動くとの観測が下支え要因となっている。

 欧州中央銀行(ECB)は12日に開催した定例理事会で、民間銀行から資金を預かる際の「中銀預入金利」を現在のマイナス0.4%から0.5%に引き下げと、昨年末で終了していた量的緩和を11月から月200億ユーロの資産購入規模で再開することを決定。来週は米連邦準備制度理事会(FRB)が17〜18日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する予定で、米金融市場では政策金利の0.25%引き下げがほぼ確実視されている。18〜19日には日本銀行が金融政策決定会合を開催する予定で、必要ならば追加金融緩和も辞さない構えをみせている。さらに、来週はスイス、ノルウェー、英国、南アフリカの中央銀行が金融政策会合を開催する予定。

 今週のECBに続き、米FRBと日銀が追加金融緩和に踏み切れば、世界的な金融緩和競争が激しくなり、金利の付かない資産である金にとっては支援材料になるだろう。また、米金融市場やエコノミストは、米FRBが今年第4四半期(10月〜12月)にも追加利下げに踏み切るとの見方が有力。9月米FOMCで金融緩和策の継続が示唆されれば、為替のドル安によりドル建てで取引されるNY金は割安感から買われることが予想される。そうなれば、NY金は中心限月の継続足で9月4日に付けた年初来高値1566.20ドルを試しに行く可能性がある。

 (注)上記の展望は9月13日夕方時点に作成されたものです。

●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。

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