横谷 健司/アナリストの目

NY原油は高止まりか
2019/09/18 15:36:06

 トランプ米大統領は10日、対イラン強硬派のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)の更迭を明らかにしたことで、対イラン制裁の緩和観測が広がり、地政学的リスクに対する警戒感が後退したほか、10日に米エネルギー情報局(EIA)が月次短期エネルギー見通しで、19年の世界石油需要の増加見通しを引き下げたうえ、石油輸出国機構(OPEC)が11日に公表した月報で、2019年および20年の世界石油需要の増加見通しを下方修正したことから、13日にかけて4営業日続落となった。
 ただ、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコは14日、石油関連施設が無人機による攻撃を受け、8月の同国産油量の6割に当たる日量570万バレルの生産が停止したと発表。トランプ米大統領は15日に「必要に応じて戦略石油備蓄を放出することを承認した」とツイッターに投稿。イエメン内戦に軍事介入するサウジ主導の連合軍報道官が16日、攻撃に使われた武器がイラン製だったとする予備調査を明らかにしたことを受けて、中東の地政学的リスクへの警戒感が一段と高まり、一時は5月21日以来約4カ月ぶりの高値を付ける急反発となったが、サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は17日、記者会見で同国産油量が9月末までに攻撃前の水準に戻るとの見通しを明らかにしたことから、再び60ドルの節目を割り込んでいる。

 原油相場はサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコの施設が無人機による攻撃を受けたことを受け、中東の地政学的リスクへの警戒感を背景に、目先も高止まりしやすい状態が続くとみられる。これまでサウジの石油施設は、堅固に守られていて障害が起きにくいと思われていたが、今回の攻撃で脆弱性が明らかとなり、原油市場に大きなショックを与えている。今後はイランとサウジ、米国の関係が悪化することへのリスクも懸念される。
 日量570万バレルの生産停止は世界の石油供給の5.7%程度が失われたことを意味する。戦略備蓄の放出や民間備蓄の利用により、すぐに原油不足が起きるということはないだろうが、今後も攻撃にさらされる懸念が残る以上、相場は下がりにくい。ドローンの飛行経路などを検証する中で、イランの関与が明らかになれば、大統領選を控えるトランプ政権がいかに介入するかが注目される。
 ただ、サウジのアブドルアジズ・エネルギー相は17日に明らかにしたように、復旧スケジュールが想定通りとなれば、原油相場は下値を切り下げる展開が予想される一方、想定以上に時間が掛かるようであれば、復旧にめどがつくまでは60ドル台が定着することになりそうだ。
 また、今夜は19日未明に米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されており、0.25%の利下げが確実視されているものの、パウエル議長が記者会見で今後の追加利下げに慎重な姿勢を示せば、原油の売り材料になる可能性もありそうだ。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、横谷 健司
 現在、フューチャーズ24にて、FAX・メール情報に掲載する市況作成等を担当。過去の価格変動や現在の世相を背景にした商品分析を得意とする。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。

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