村上 孝一/アナリストの目

米景気の先行き不透明感が強まる
2019/10/04 16:44:15

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、為替のドル高・ユーロ安進行などで売られ急落。10月1日に中心限月の期近12月限は1465ドルと、中心限月の継続足で8月5日(1448.80ドル)以来約2カ月ぶりの安値を付けた。しかし、その後は低調な米経済指標発表が相次いだことから、米景気の先行き懸念や米連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げ観測が強まり急反発。10月3日には1525.80ドルの高値を付けた。

 米サプライ管理協会(ISM)が10月1日発表した9月の米製造業景況指数は47.8と市場予想の50.1を大幅に下回り、2009年6月以来10年3カ月ぶりの低水準で、製造業の景気・拡大の節目とされる50を2カ月連続で割り込んだ。また、米ISMが3日発表した9月の米非製造業景況指数は52.6と市場予想の55.0を大幅に下回り、2016年8月以来3年1カ月ぶりの低水準。米中貿易摩擦が企業業況感を悪化させており、今年7月〜9月期に米景気が急速減速した可能性に懸念が強まった。
 また、米民間雇用サービス会社オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)が2日発表した9月の全米雇用報告で、非農業部門の民間就業者数が前月比13万5000人増と、市場予想の14万人増を下回ったうえ、8月分が当初発表の19万5000人増から15万7000人増に下方修正された。製造業を圧迫している貿易摩擦の影響が労働市場にも波及しつつある可能性が示された。
 米景気減速懸念を強める経済指標が相次いだことを受け、投資家のリスク回避の動きが強まり、リスク資産である株式が売られる一方、資金の逃避先として安全資産とされる金が買われた。また、9月の米ISM非製造業景況指数が3年1カ月ぶりの低水準に低下し、これまで比較的堅調だったサービス業にも陰りが出てきたとの警戒感から、米FRBによる追加利下げ観測が強まる中、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つエバンズ・米シカゴ連銀総裁が3日、「政策調整に柔軟に対応する」と述べ、追加利下げを前向きに検討する考えを示した。
 CMEグループのフェドウオッチによると、10月29〜30日の米FOMCでの0.25%利下げ確率は92.5%と、前日の77%から上昇。年内さらに1回の利下げが実施される確率も50%以上織り込まれている。

 目先の注目材料は日本時間10月4日午後9時30分に発表される9月の米雇用統計。市場予想は景気動向を反映する非農業部門就業者数が前月比14万5000人増加と、前月の13万人増加からやや伸びが加速する見通し。ただ、今週発表された米経済指標の低調な内容を受け、市場関係者の間では9月の米雇用統計も「弱い内容になるのでは」と警戒する声が聞かれる。また、パウエル米FRB議長のほか、今年の米FOMCで投票権を有するエバンズ・米シカゴ連銀総裁、ローゼングレン・米ボストン連銀総裁、ジョージ・米カンザス連銀総裁などの講演が予定されており、金融政策に関する発言が注目される。

 9月の米雇用統計や米FRB高官の発言で、米景気減速懸念や追加の米利下げ観測が強まれば、NY金は中心限月の継続足で9月25日に付けた直近高値1543.30ドルを試しに行く展開が予想され、同高値を突破できれば次は9月4日に付けた年初来高値1566.20ドルが上値目標になるだろう。
 一方、非農業部門就業者数の増加幅が市場予想を上回った場合、買い越しポジションが膨らんでいる投機筋が手じまい売りに動くことが予想される。ただ、景気拡大の目安とされる20万人を5カ月ぶりに上回ることなければ、10月1日に付けた安値1465ドルを試す相場展開になる可能性は低いとみている。

 (注)上記の展望は10月4日夕方時点に作成されたものです。
●アナリスト紹介 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。

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