村上 孝一/アナリストの目

ゴールド、米国の経済と通商問題が安全資産としての魅力を強める材料に
2019/12/03 15:32:24

 中国国家統計局が11月30日に発表した11月の製造業購買担当者景況指数(PMI)が50.2と、市場予想の49.5を上回ったうえ、景気の拡大・縮小を示す50を7カ月ぶりに上回った。さらに、英調査会社マークイットと中国メディア財新が2日発表した11月の中国PMIは51.8と、市場予想の51.4を上回り、2016年12月(51.9)以来約3年ぶりの高水準となった。
 12月2日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、前述の中国PMIの改善を受け、同国の景気減速懸念が和らぐ中、安全資産とされる金は売られたことで、中心限月の期近2月限は一時、前週末比12.90ドル(0.87%)安の1459.80ドルに下落。ただ、米サプライ管理協会(ISM)が2日発表した11月の米製造業景況指数が48.1と市場予想の49.2を下回り、景気の拡大・縮小を示す50を4カ月連続で割り込んだ。また、同日発表された11月の米建設支出が前月比0.8%減少と、市場予想の0.4%増に反して減少したのを受けて、米株式市場では米経済の先行きへの懸念が広がり下落したことから、安全資産とされる金は買われ安値から10ドル近く値を戻した。
 2日発表された米経済指標が低調だったことから、今週発表される経済指標(11月のADP全米雇用報告・民間就業者数、11月の米ISM非製造業景況指数、11月の米雇用統計)も低調な内容が相次ぐようだと、米経済の先行きへの懸念が再び強まる可能性がある。

 市場が注目している米中貿易協議について、2日付の共産党機関紙・人民日報系の環球時報は消息筋の話として、関税撤回が第1段階合意の「最優先事項」との中国の立場を強調。一方、ロス米商務長官は2日、米FOXビジネステレビで、中国との貿易協議に関し「15日が理にかなった期限だ」とした上で「もしそこまでに何も起きなければ、トランプ米大統領は追加関税を課すと明言している」と述べ、中国側に譲歩を促した。
 米ニュースサイトのアクシオスは1日、「米国の「香港人権・民主主義法」の成立が影響し、貿易協議は停滞している」と報じた。また、中国政府は2日、米国の「香港人権・民主主義法」成立に対抗し、米軍の艦艇や航空機が整備のため香港に立ち寄ることを一時拒否する措置を決定し即日実施したと発表。米政治家の中国入国制限の可能性なども報じられており、香港問題が貿易協議進展の足かせになる恐れは依然くすぶっている。
 また、トランプ米大統領は2日、ブラジルとアルゼンチンから輸入する鉄鋼とアルミニウムに追加関税を課すとツイッターで表明。両国が自国通貨を切り下げて対米輸出を有利にしていると主張。さらに、米通商代表部(USTR)は同日、フランスが独自に導入したIT大手を対象とする「デジタルサービス税」は米国企業を不当に差別しているとして、フランスから輸入する24億ドル(約2600億円)相当の製品63品目に最大100%の制裁関税を検討すると表明するなど、世界的な貿易摩擦激化への警戒感が再び強まる恐れもある。

 前述の要因で世界的な先行きに不透明感が生じた場合、投資家は資金の逃避先として安全資産とされる金に向かうことになるだろう。東京商品取引所の金先限は11月中旬から5060円〜5150円のレンジ内での取引が続いているが、安全資産としての金需要拡大となれば、レンジ取引を抜け出し上値を伸ばす展開が予想される。

●アナリスト紹介
 第一商品(株)フューチャーズ24、村上 孝一
 現在、フューチャーズ24にて、ファンダメンタルズ分析と市況作成を担当。時事通信社、日本経済新聞社に貴金属・石油市況等のコメントを提供中。「商品アナリスト(貴金属)・東京商品取引所認定」を取得。

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