ロボアドバイザーと投資信託の違いを比較!どっちが初心者に向いている?

2020/03/01

「投資」と一口に言っても、株式投資やFX、投資信託など、さまざまな種類がありますよね。

最近話題の“ロボアドバイザー投資”も、これらの一つです。

ロボアドバイザーサービスのなかには商品選定からリバランスまで一任できるものもあるので、近年では投資を知る初めの一歩として利用している方も多いです。

しかし、ロボアドバイザーによる資産運用サービスと同じように、運営会社がいる「投資信託」と、どのような違いがあるのか気になりますよね。

今回は、ロボアドバイザーによる投資と、投資信託の違いについてご紹介します。

ロボアドバイザーとは

ロボアドバイザー(ロボアド)サービスとは、簡単に言ってしまえばAI(人工知能)が投資家の代わりに資産運用を行うサービスのことです。

このロボアドバイザーには大きく分けて二つの種類があります。

一つが、投資のアドバイスを行う「アドバイス型」。そしてもう一つが、アドバイスから運用までを請け負う「一任型(一括型)」のサービスです。

一任型サービスのほうは、商品選定や発注はもちろん、リバランスまで整えてくれる機能が備わっています。

ロボアドバイザーのなかでも投資一任型は、「すぐに投資を始めたいけど知識がない」という初心者の方におすすめできる運用方法です。

また、AIによる資産運用のため、人件費が抑えられ、コストをかけずに始められるという点も大きなメリットです。

ロボアドバイザーのサービスの流れ

ロボアドバイザーで資産運用をする際、その手順や実際にできることが気になりますよね。

今回は“投資一任型”のロボアドバイザーを例にとってサービスの流れをご紹介します。

①サイトにアクセスし、無料シミュレーションを行う
➁確認したら次は口座を開設する
③新規登録ができたら目標金額やリスク許容度等を入力
④入金や積み立て額設定
⑤ロボアドバイザーがポートフォリオ(資産運用方針)を提案
⑥ポートフォリオ変更or了承で方針を決定
⑦ロボアドバイザーが運用を行う(商品購入やリバランス等)

このように、ユーザー(投資家)は個人情報入力後、審査を通過すれば、すぐに資産運用を始めることができます。

ロボアドバイザーの投資対象

ロボアドバイザーの投資対象は運営会社によって異なりますが、主流は「海外上場投資信託(ETF)」と「国内投資信託」です。

ロボアドバイザーサービスのなかでも有名な「ウェルスナビ(WealthNavi)」や「THEO(テオ)」はいずれもETFを対象としています。

投資信託とは

投資信託」とは、投資家から資金を集め、それをプロが運用していくかたちの金融商品です。

投資家たちから集めた資金を元手として専門家(ファンドマネージャー、ポートフォリオマネジャー)が株式や債券などに投資します。そこで出た成果を各々の投資家に還元します。

沢山の資金で運用していくため、個人では難しい分散投資もすることが可能です。

また、投資家は投資信託によって「分配金・償還益・売却益」の3つのリターンがなされます。しかし、元本保証もないので運用する際は十分理解しておきましょう。

このように、投資の専門家が投資家に代わって資産運用を行うのが投資信託ですが、ロボアドバイザーとの違いは“AIか、そうでないか”というところだけにとどまりません。

ロボアドと投資信託の違いを具体的にご紹介する前に、まずは投資信託のサービスの流れを知っておきましょう。

投資信託のサービスの流れ

次に、投資信託の購入の流れや運用方法の手順をご紹介します。

運営会社によってかなり差はありますが、契約から運用までの流れは以下のようになります。

①投資信託の種類を選ぶ(株式・債券・バランス型等)
➁証券会社の口座開設
③口座に入金
④商品を購入
⑤運用報告書などの受取(再投資・新規投資を検討)
⑥報告や目標に沿って自分でリバランスを行う

このように、投資信託ではプロのサポートはあるものの、商品選定は個人で行います。

また、成果に沿ってリバランスを行うのも投資家自身の仕事となります。

投資信託の投資対象

投資信託にはさまざまなバリエーションがあります。

投資対象となるのは株式、債券、不動産などで、商品の対象地域が国内か海外かでも違いがあります。

また、金などのコモディティを対象とする投資信託や、複数の地域に投資対象を分散させるバランス型投資信託などもあります。

その他にも「アクティブファンド」と「インデックスファンド」や、「オープンエンド型」、「クローズエンド型」など、投資家の希望する投資方針によっても種類を分けることができます。

【資産クラスの分類】
・国内株式型
・海外株式型
・国内債券型
・海外債券型
・J-REIT
・海外REIT
・コモディティ

一般的にこの7つが資産クラスの分類となります。

この他に、これらを組み合わせて運用するバランス型の投資信託もあります。

バランス型は、リターンこそ少額ですが、その分リスクも少ないという特徴があります。

このような「分散投資」は、一任型のロボアドバイザーにもよく見られます。

ロボアドバイザーと投資信託の違い

次に、投資信託とロボアドバイザーの具体的な違いについてご紹介します。

メリットとデメリットをしっかり理解して判断しましょう。

ロボアドバイザーと投資信託の違い1. 最低投資資金

投資信託とロボアドバイザーには“最低投資資金”に違いがあります。

アドバイス型のロボアドバイザーなら最低投資資金が100円というところもありますが、一任型のロボアドバイザーなら「10万円~」というところが多いです。

最近では「TEHO+docomo」のように、一任型のサービスであっても1万円から積立投資ができるロボアドバイザーも登場しています。

一方、投資信託は一般的な最低資金額が1万円といわれ、それほど高額ではありません。

また、こちらも積み立てであれば100円から投資できるものも多く、より手軽だといえます。

ロボアドバイザーと投資信託の違い2. 投資にかける手間

投資信託とロボアドバイザーの最大の違いは“投資にかける手間”だといえます。

「投資信託のサービスの流れ」でご紹介したように、投資信託の場合は商品の選定を個人で行います。

バランス型を購入している場合は別ですが、多くの場合、投資信託では複数の商品を自分で分散投資します。

そうなるとリターンとリスクのバランスを整えるのも自分、ということになります。

別の投資商品を新規で購入するか、今の商品に再投資するか等、考えることは多岐にわたります。

投資信託は何より個人の裁量によるところが大きいため、知識や経験などの判断基準が少ない初心者にとっては少し難易度が高いといえます。

一方、一任型のロボアドバイザーでは、国内・海外の分散投資を行いながら、自分に合ったポートフォリオを作ってくれるだけでなく、リスク軽減のためのリバランスも整えてくれます。

このように投資の知識がない人や、投資を始めたばかりで複数購入したことがない人、また、投資に時間を割けない人にとって、ロボアドバイザーは大変良いパートナーとなってくれます。

ロボアドバイザーと投資信託の違い3. リスク

投資信託ではリスク評価も投資家個人が行いますが、ロボアドバイザーは投資家本人のリスク許容度を見て、それに応じた商品を選んでくれます。

また、AIが市場データなどから投資対象の下落予想をたて、ポートフォリオを構築しなおしてくれます。

このように、ロボアドバイザー投資は、一時の感情に左右されることなく過去と現在のデータに基づいた論理的な運用が可能です。

ロボアドバイザーサービスによる投資は、初心者で且つ、リスクを軽減しながら継続的に投資がしたい方には特におすすめの方法といえるでしょう。

ロボアドバイザーと投資信託の違い4. リバランス

購入商品を定期的にリバランスする(資産配分を元の状態に戻す)ことは、投資家の重要な仕事です。

例えば、株式と債券を均等に50万円:50万円で持っていたとして、株式の資産価値が20万円上がり70万円:50万円になったとします。

それを60万円:60万円にする、というように当初のバランスに戻すことで将来的なリスクを軽減するのがリバランスです。

しかし、これはバランスが崩れたらすぐに直せばいいというものでもありません。

それは、小さいファンドの割合を大きくすることでかえってリターンが少なくなってしまったり、こまめなリバランスによって手数料が余分に発生したりするためです。

投資信託で自分で複数買い付けている場合は自分でこのバランスを整えなければいけません。

しかし、ロボアドバイザーなら、個人のポートフォリオから最適なリバランスを自動で行ってくれます。

ロボアドバイザーと投資信託の違い5. 始めてから投資するまでの時間

ロボアドバイザーによる投資は、投資信託に比べ、始めやすいのが特徴です。

証券会社で投資信託を申し込む場合、通常申し込み完了後にログイン情報などが郵送で送られてくるので最短でも一週間待たないと取引を始めることができません。

一方、一任型のロボアドバイザーの場合は、簡単な質問に答え個人情報を入力、その後本人確認書類をWeb上で提出すれば最短3分程度で登録することができます。

ウェルスナビやTEHOなどの場合は、情報を登録すると運営会社から簡易書留が郵送されます。

簡易書留が届き、審査通過のメールが届けば入金し、すぐに取引を開始できます。

ロボアドバイザーの場合、登録から運用までにかかる時間はアドバイス型で1日、一任型で2~3日が一般的です。

始めたいと思ったときにすぐに始めることができるのがロボアドバイザー投資の良いところですね。

ロボアドバイザーと投資信託の手数料を比較

次に、気になる手数料について、どのくらいの差があるのかを詳しく見ていきましょう。

ロボアドバイザーの手数料

ロボアドバイザーの手数料は、預かり資金の「年率1%(税込み1.1%)」が業界の目安となっています。

これは、他の投資方法のなかでは高額ですが、ロボアドバイザーの場合は売買手数料や為替手数料がかからず、リバランスなども無料で行ってくれるため、費やす時間を考えれば「安い」と思う方も多いです。

ロボアドバイザーの手数料が安いか高いかは、個人の感じ方次第です。

自身の持つ資金や、目標、投資方針、投資に割ける時間を考慮した上で費用対効果を考えましょう。

投資信託の手数料

投資信託は、ロボアドバイザーと違い、「購入・運用・解約」のそれぞれに手数料が発生します。

・買付手数料
・信託報酬
・監査報酬
・信託財産留保額(売却・換金)

上記のように、購入時と売却時の手数料だけでなく、運営側に支払う信託報酬や会計監査に必要な監査報酬などが発生します。

投資信託の手数料は、証券会社やファンドによっても大きく差があります。

可能な限り手数料が安いものを選び、できるだけ自分の資金を守りましょう。

ロボアドバイザーと投資信託の実績を比較

次に、実際に投資を始めた場合、ロボアドバイザーと投資信託の運用実績にはどれくらいの差があるのか、公式サイトの運用実績をもとに考えてみましょう。

ロボアドバイザーの実績

まず、ロボアドバイザーの資産運用サービスのなかでも人気の「楽ラップ」と「ON COMPASS」の2017年1月~2019年12月までの平均的な運用実績と、最低・最高実績を比較してみましょう。

この結果で、2017年~2019年においては「楽ラップ」の利回りが非常に良いことが分かります。

最低運用実績も「ON COMPASS」の10倍以上と、値が割れる可能性も低いので「楽ラップ」の精度の高さがうかがえます。

ウェルスナビの実績

次に、最近CMなどでもよく目にする「ウェルスナビ」の運用実績を見てみましょう。(2017年1月~2019年末)

2017年~2019年の実績では、「ウェルスナビ」は「楽ラップ」と遜色ない結果となりました。

「ウェルスナビ」も平均的な運用実績が良い、優秀なロボアドバイザーだといえます。

投資信託の実績

投資信託の運用実績はもちろん、自分が選ぶものよって違います。

投資信託の運用成績を知るにはいくつかの方法があります。

一つは「基準価額」です。基準価額とは、株式や公社債などをその日の時価で評価し、費用を差し引いた上で算出する資産価値を基準価額といいます。

基準価額は購入や売却の基準となるので知っておきましょう。

また、「期中騰落率」といって、一定期間の基準価額の値上がり・値下がりの率を知ることもできます。

投資信託協会のホームページで、利回りと分配金、基準価額の検索ができるので、その投資信託の運用実績が知りたいならきちんと調べておきましょう。

ロボアドバイザーと投資信託はどっちが初心者に向いている?

ここまで、ロボアドバイザーと投資信託のサービスの違いや手数料、運用実績などを比較してきました。

ロボアドバイザーと投資信託は“人かロボットか”の違いだけにとどまらず、さまざまな違いやメリット・デメリットがあることが分かりました。

それらを踏まえた上でより初心者向きなのはどちらでしょうか。

【結論】初心者に向いているのはロボアドバイザー

ロボアドバイザーと投資信託を比べたとき、より初心者向きなのはロボアドバイザーだといえます。

手数料は預り金の1%と少々高いものの、ロボアドバイザーは未経験者でもすぐに始められるような手軽さがあります。

また、初心者や未経験者にとっての一番大きな悩みでもある商品選定もお任せすることができ、アフターフォローとしてリバランスにも対応してくれます。

一から勉強して投資信託を始めるのも良いですが、「まずはロボアドで投資を覚える」というのも投資を始める上で重要な選択肢の一つだといえます。

ぜひ、ロボアドバイザーによる資産運用サービスでコツコツ積立投資をしながら、得た知識を使って投資信託や株式投資にチャレンジしてみましょう。

ロボアドバイザーに向いている人

・少額から資産運用を始めたい
・投資経験があまりない
・投資の知識を身に着けたい
・投資に割く時間がない
・ローリスクでコツコツ積み立てたい

投資信託に向いている人

・少額から資産運用を始めたい
・少額で分散投資をしてみたい
・預貯金がある
・定期的な収入がある

プロに資産運用を任せる方法として、投資信託やロボアドバイザーという方法がありますがどちらもメリット・デメリットがあります。

どちらも元本保証がない運用となるので、投資信託の場合は特に自分の資産を守る努力が必要です。しかし、「しばらく使う予定のない預貯金がある」という方は投資信託も検討してみましょう。

ロボアドバイザーの場合、投資信託と同じく元本保証はありませんが、解約するときも手数料がかからず、AIがリスク管理をしてくれるので長期的な運用では元本割れの心配も少ないです。

それぞれのリスクを知った上で自分に合ったものを選びましょう。

自分の状況に応じてロボアドバイザーか投資信託かを決めよう

今回は、「ロボアドバイザー」と「投資信託」の違いについてご紹介しました。

どちらも“投資家に代わってプロが運用する投資”ですが、そのサービス内容や手数料、運用実績やリスクには大きな違いがあります。

初心者であってもしっかり知識を身に着け、運用していくのであればより少額で分散投資が可能な投資信託という選択肢もありますが、初心者に向くのはやはり、手軽に開設でき、ほったらかしで運用することができるロボアドバイザーです。

しかし、どちらであっても自分の資産額や運用方針、目的をしっかり定めた上で、他者に流されないことが一番重要です。

その理由は、自分の状況に応じて資産を運用していくのが一番建設的だからです。

自分にはどんな投資方法が見合っているか考え、「投資の勉強ができていない」、「どうしても投資に時間を割けない」という人はロボアドバイザーによる資産運用サービスを検討してみましょう。

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